イラン核開発/危険な挑戦を断固拒否する | 世界日報サポートセンター

イラン核開発/危険な挑戦を断固拒否する


 イランが核燃料技術の「研究活動」を再開した。ウラン濃縮施設など核関連施設への国際原子力機関(IAEA)の封印の一部を解除したものだ。欧米などは核兵器技術の獲得につながると強く反発している。イランのいっそうの孤立化は必至だ。



疑惑を晴らす説明がない

 イランは、昨年八月の強硬派アハマディネジャド大統領就任の前後から、核開発推進への野心をあらわにしてきた。イランとの交渉に当たってきた英仏独三国とは、ウラン転換・濃縮など核関連活動の停止で二〇〇四年十一月に合意していたが、昨年八月、国際社会の非難を押し切ってウラン転換作業を開始した。

 イランの核開発問題が表面化したのは、二十年近くにわたって極秘に核開発を進めていたことを、反政府勢力が明らかにしてからだ。以後イランは、発電など平和利用のためのものであり、核兵器の開発・保有の意思のないことを強調してきた。


 しかし、極秘に核兵器開発を進めていたのではないかとの国際社会の疑念は解消されていない。平和利用を目指すのならば、これらの疑惑を晴らすための納得のいく説明が必要だ。


 イランは、核開発は核拡散防止条約(NPT)加盟国の当然の権利と主張するが、核兵器開発の意図が疑われる限り、欧米諸国が同国の核開発を容認することはあり得まい。


 また、NPT加盟国には、IAEAの査察の受け入れ、核開発情報の開示などの義務が課されている。イランは、核開発の透明性を高め、NPT加盟国としてのこれらの義務を加盟国の納得する形で果たすべきだ。


 アハマディネジャド大統領は就任後、強硬な発言を繰り返してきた。ホロコースト(ユダヤ人大虐殺)否定発言には、ドイツなど欧米諸国が強く反発、また「イスラエルを地図上から消す」よう求める発言は、国際社会から強く非難された。


 ところが、イスラエル・ユダヤ問題、核開発については国内からの支持が強い。「欧米など反イラン勢力に対抗する強い指導者」のイメージをつくり出すには、格好の材料だ。現に大統領への支持は、保守派を中心に高まっていることが伝えられている。


 また、イランが強気の姿勢を取る背景には、ロシア、中国が国連安保理への付託、制裁に否定的な点が挙げられよう。両国は拒否権を持つ常任理事国だ。


 しかし、研究活動の再開には、ロシアも不快感をあらわにした。ラブロフ外相は「いかなる選択肢も排除しない」と安保理付託に反対しない意向を明らかにした。


 北朝鮮が、国際社会からの逆風を押し切って核兵器を保有したとみられていることも、イランにとっては追い風だ。イスラエルの保有も確実とされる。イラン指導部が、核開発疑惑への国連の制裁は限定的で、恐れるに足らないと考えていることはあり得る。


安保理付託の可能性大に

 だが、イランの核兵器保有が周辺アラブ諸国への核拡散の弾みとなることも考えられ、この点からもイランの核開発推進を容認することは困難だ。

 英仏独は十二日、緊急外相会談を開き、イランの核開発問題を安保理に付託するようIAEAに求めることで合意した。これにより付託の可能性は高まった。


 国際社会は、疑惑の残るイランの核開発推進という重大な挑戦に対し断固拒否する姿勢をいっそう明確にしていくことが必要だ。



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