ライブドア捜索/現代版錬金術の実態をえぐれ | 世界日報サポートセンター

ライブドア捜索/現代版錬金術の実態をえぐれ


 インターネットサービス会社ライブドアならびに堀江貴文同社社長宅を含む関係先十数カ所に、東京地検による捜査の手が伸びた。直接の理由は、子会社の企業買収で虚偽の情報を公表したり利益水増しの決算を発表したりした疑いで、事実とすれば、株価の公正な形成を一方的に妨げ、信義則に基づくべき売買取引を同グループに不当に有利になるよう、操作したものと断定せざるを得ない。
 これを許せば、証券市場は存在意義を失う。徹底的な実態解明と責任追及を、強く望みたい。



卑しむべき企業活動


 捜査当局によると、ライブドアの関連会社バリュークリックジャパン(社名変更でライブドアマーケティング)が出版業のマネーライフ社を株式交換の手法で買収すると公表した(二〇〇四年十月)ことにかかわる。実際には、ライブドア側が実質支配している投資組合を通じて公表より以前にマネーライフ社を勢力下に取り込んでいたので、買収するとの公表は虚偽だったことになる。


 しかも、交換に必要として発行した新株は投資組合に残り、組合はこれを有利に売却して、その利益はライブドアに還流しているのではないかとの推測も生じている。手のこんだ不自然な対応を、そこに読み取れよう。


 のみならず、本体のライブドアに関しても、別の疑惑が浮上している。二件の企業買収に絡んで、自社株の分割を繰り返しつつ株価の上昇を促し、買収先企業との株式交換に充当した以外の残存株を市場で売却処分して巨額の利益を手にしたのではないかとの指摘がそれで、目下のところ真相は不明ながら、こうした疑惑が浮上していること自体、関連会社ライブドアマーケティングの事例と照らし合わせて、ライブドアにとって重大だとみなさざるを得まい。


 ライブドアと堀江同社社長の知名度を一気に高めたのは、周知のように、昨年二月に表面化したニッポン放送株の買い集めで、ここでもライブドアは詭計(きけい)に頼っている。すなわち、堂々と公開買い付け(TOB)の手段に訴えることなく、立会時間外の市場で、いわば潜航的な方法によりニッポン放送株の大量取得を実現した。識者は、そこに、一種のうさんくささを、感じ取ったに違いない。偽計取引あるいは虚偽の風説の流布という証券取引法の禁止条項に違反する容疑を生むに至った一連の企業活動は、その延長線上の出来事にほかならぬ。


 ライブドアを中心にした企業集団の活動には、これを“虚業”とするマイナス評価が、有識者の間に広がっている。極めて自然の成り行きだろう。法の不備を探求し不備に乗ずる姑息(こそく)なやり方から一歩も二歩も踏み出した証券取引法違反容疑の事件は、許せることではない。真相の解明と責任の追及を望んでやまぬゆえんも、そこに根ざす。


 残念なことに、堀江ライブドア社長に対し、IT(情報技術)時代の風雲児だと礼賛する風潮が、一方には存在する。テレビ各社はこの風潮に便乗して堀江氏をタレントとして扱い、自民党またそれに悪乗りして、昨年の総選挙では公認こそしなかったが同氏を事実上の同党候補とかつぎ上げた。いずれも軽薄のそしりを免れ難い。



憂うべき風潮を絶て


 実態の解明と責任の所在の糾明は、ライブドア企業集団の不正の有無をただすにとどまらぬ。証券市場の存在意義を確実なものにするためにも、金もうけを至上とするかのような憂うべき風潮を封じ込むためにも、不可欠である。


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