日本だけでない、韓国拉致被害者家族の思いは・・・? | 世界日報サポートセンター

日本だけでない、韓国拉致被害者家族の思いは・・・?

声上げ始めた韓国の拉致被害者家族
船長の娘、南北首脳に手紙

 韓国動乱(一九五〇―五三年)以降、北朝鮮に拉致された民間人と捕虜となったまま帰還できずにいる元韓国軍兵士の家族らが最近、被害者の早期返還や賠償金などを南北の政府に求める動きが相次いでいる。生死確認など再三にわたる家族らの要請に応えきれなかった韓国政府だが、改めてこの問題に対する姿勢が問われようとしている。(ソウル・上田勇実)


 北朝鮮による民間人拉致被害や元国軍兵の長期拘束などの問題が、数十年もたった今日なお未解決であるのは、一つには長い間、南北が対立関係にあり、北は「拉致はない」と繰り返しながら拉致行為そのものを頭から否定してきたからだ。


 そして金大中政権発足で北朝鮮に対する包容政策が始まってからは、今度は「北が嫌がる」という配慮から、韓国政府の同問題に対する取り組みは消極的だった。被害者とその家族たちは、南北の政府から無視同然の扱いを受けてきたともいえる。


 しかし被害者家族の最近の動きは、社会的な関心を再度喚起している。


 一九八七年に操業中のところ北朝鮮に拉致された漁船船長の父を救出する活動を続ける拉北者家族協議会の崔祐英代表(35)は今月十五日、昨年十月に夕刊紙の広告を通じて金正日総書記あてに手紙を出したのに続き、先日は韓国の盧武鉉大統領あての手紙を青瓦台(大統領府)ホームページの掲示板に書き込んだ。


 「大統領も愛する娘さんがいらっしゃるので私の心情、そして北朝鮮で一人家族を恋慕い、痛恨の年月を生きてきた父の心情をよく理解していただけるでしょう。余命いくばくもない父のため、もつれた結び目を解いてくださるよう切に願うものです」


 「今年五月八日の父の日には十九年間、胸につけてあげることができなかったカーネーションを直接つけられる素朴な幸せを感じられるよう願っています」


 青瓦台はこの手紙について、「問題解決に向け南北対話などを通じて努力しており、今後も可能な限り積極的に努力する」(報道官)とのコメントを発表しているが、政府によって韓国に帰還を果たした被害者は一人もいない。「言葉ではなく行動が必要」(崔代表)と被害者家族らはしびれを切らしている。


 また韓国動乱の最中に拉致された民間人の家族十五人が十七日、五百―一千万ウォンの損害賠償を求める訴訟をソウル地裁に起こした。休戦後に拉致された四百八十五人の民間人や元国軍兵の家族による提訴は過去にもみられるが、戦争中に被害に遭った民間人の家族による訴訟は初めてだという。


 拉致された民間人の中には、韓国紙・東亜日報の記者、ソウル地検の部長検事、ソウル中区の区長、最高裁判所の経理課長、ソウル永登浦警察署の治安官なども含まれており、「韓国政府は北の助けがなくても可能な拉致の実態把握すらせず、拉致された公務員に名誉回復をもたらす特別法も制定しなかった」(六・二五戦争拉北者家族協議会)との批判が上がっている。


 さらに今月九日には、拉致された後に支援団体などのサポートで韓国に戻った民間人四人が、北朝鮮に対し計四億㌦(約四百六十億円)の補償金を請求する訴えを、韓国大統領の直属機関である国家人権委員会などに提出した。


 これは韓国から北朝鮮に送還された非転向長期囚が先に、韓国で拘置中に受けた非人道的待遇について「主犯の処罰と補償」を求める告訴状を、同委員会に板門店を通じて送ったことに対抗した措置の性格が強いが、「北によって拉致され、三十年間監禁と暴行、強制労役を受けた」として、金正日総書記が一人当たり一億㌦を支払うよう求めている。


 被害者や家族たちの再三にわたる願いが叶(かな)うには、韓国政府の問題解決に向けた強い意思が不可欠。しかし政府よりも市民団体が主力、しかも日本の「救う会」のような大きな組織はなく、多くの被害者家族は高齢化や貧困ゆえ救出活動どころではないという。崔代表は、こう訴えている。


 「相手は北朝鮮じゃないですか。私の限界を超えていますよ。日本の国会議員は拉致問題に積極的なのに韓国の議員は沈黙している。でも今からでも遅くないから積極的に支援してほしい。いつの日か私に代わって国が父を救ってくれるという期待は今も変わっていません」


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