北方領土の日/四島返還を粘り強く訴えよう | 世界日報サポートセンター

北方領土の日/四島返還を粘り強く訴えよう

 二十六回目の「北方領土の日」を迎えた。旧ソ連の国際法違反による北方領土の不法占拠が、ロシアに体制移行してもなお継続している。改めて強く抗議するとともに、四島全島の返還を実現するための決意を新たにしたい。

不法占拠を続けたまま


 政府は、四島周辺の資源の共同開発などを通じて、二島返還などあいまいな決着で済まそうとするロシアの意図を見抜き、四島一括返還というこれまでの方針を堅持すべきである。


 第二次世界大戦は、わが国がポツダム宣言を受諾して終結した。ところが、旧ソ連は、日ソ中立条約を破って一方的に日本を侵攻したばかりか、八月十五日の終戦後も侵攻を続け、九月二日の降伏文書調印式の後も北方領土への侵攻を続けた。旧日本軍人や民間人ら約六十万人が国際法に違反してシベリアに抑留され強制労働をさせられ、約六万人が死亡した。このような不当な歴史的事実を不問に付し、不法占拠を続けたままでの日ロ平和条約締結はあり得ない。


 米ソ東西冷戦が終結し、日米安保条約を結ぶ日米両国がロシアを仮想敵国視することはなくなった。北方領土を日本に返還することが、米国の前方基地の提供になるという旧ソ連が抱いていた冷戦時代の懸念もなくなったはずだ。日本は平和外交に徹しており、ロシアの文化・芸術などの民間交流では、友好関係をさらに発展させる可能性を秘めているのである。


 中立条約に違反した非をとがめる以上、本来なら、南樺太およびウルップ島以北の島々も不法占拠しているとして批判することもできる。だが、これは旧ソ連の調印していないサンフランシスコ平和条約で日本は放棄した。わが国の主張は、江戸時代に両国が画定した国境線に従った北方領土のみの返還である。


 一方、わが国も反省点はある。日米安保条約に守られ西側陣営に所属しながら、憲法九条護憲を盲信し旧ソ連に有利な自衛隊違憲論をふりかざしてきたマスコミや国民の声が多かったことだ。今では全千島返還を主張している日本共産党は一時期、「北方領土返還を要求する法的根拠は存在しない」としていた。国内世論が分断され、領土返還運動の盛り上げにマイナスに作用していたのは明らかだ。


 学校教育においても、北方領土がわが国固有の領土であるとして徹底して教えられてこなかった。国家を構成する主権、国土、国民を守る理念が否定される教育が、社民党(旧社会党)系日教組が主導する教育現場では行われてきたのだ。この過去もしっかりと検証され、清算されねばならない。


 プーチン政権は昨年一月、「二島かゼロか」の選択を迫った。「二島返還」を最大限の譲歩枠とするのが同政権の立場だ。


 今年は「ソ連は平和条約締結後に歯舞・色丹の二島を日本に引き渡す」とした日ソ共同宣言が締結されて五十周年に当たる。これを機に、プーチン政権が二島返還決着あるいは、領土問題と経済支援問題を分けて協力関係を拡大させようとするさまざまな仕掛けを行う可能性も否定できない。



国民啓蒙運動の強化を


 日本は領土問題をあいまいにしかねない憲法を改正し、国土防衛をしっかり規定するよう努める必要がある。同時に、国民啓蒙(けいもう)運動を強化するとともに、ロシアおよび国際社会を相手に四島返還の正当な主張を掲げ続けなければならない。さらに、北方領土返還が長期的に見てプラスになることを粘り強くロシアに訴えていく必要もあろう。

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