ハマスの勝利は平和への絶好のチャンスか-元英情報部高官が主張 | 世界日報サポートセンター

ハマスの勝利は平和への絶好のチャンスか-元英情報部高官が主張

若手ファタハと協働関係-パレスチナ


 パレスチナのインティファーダ(民衆蜂起)終結の交渉をまとめた元英情報部高官は、私的な政策論文で、パレスチナ自治評議会選挙でのハマスの勝利は「永続的和解への最良の機会」だと主張している。(米UPI通信、二月二日付)

 先月末の選挙におけるハマスの勝利を予測した希少な一人で、現在ロンドンにある「紛争フォーラム」のディレクターを務めているアラスター・クルック氏は、ハマスは包括的なパレスチナ政治の回復を求めていると主張する。


 同氏は、「再び活気づいたパレスチナの政治組織は、やがてイスラエル人とパレスチナ人の政治的合意のための意外な窓口を提供するかもしれない。復活したパレスチナの政治指導者団との交渉に従事することは、イスラエルにとって一層困難かもしれない。だが、交渉の結果が、国民から権限を委ねられ、ほかの党派から支持された、規律正しい運動体によって実際に履行されると期待できることは永続的和解への最良の機会を提供する」と言う。


 クルック氏は、これはハマスとマルワン・バルグーティ氏が率いるより若い世代のファタハ武装勢力との間にインティファーダの間に培われた緊密な協働関係に基づいているからだ、と主張する。


 この関係は継続しており、パレスチナ政治の次の局面の鍵となるだろう。同氏は、「最近、ハマスのスポークスマンが一世代にわたるイスラエルとの相互的な完全暴力停止に合意する可能性を強調したが、それは長期間の平穏さの中で解決され得る、すべての未決着問題を処理するだろう」と述べた。


 同氏は、ハマスが心に描く交渉は(ハマスは既に、底辺の広いパレスチナ交渉団に参加する用意があると公言した)、一九六七年の占領地からのイスラエルの撤退およびエルサレムを首都とするパレスチナ人国家という基本から始まるだろうと示唆する。


 クルック氏は、インティファーダの際にパレスチナ人とイスラエル治安部隊の間の交渉において米中央情報局(CIA)長官ジョージ・テネット氏と共に働き、自らベツレヘムのキリスト聖誕教会の籠城(ろうじょう)終結の交渉をまとめた。また二〇〇三年六月にハマスおよびイスラム聖戦と直接交渉した。同氏は当時ハマス武装勢力を最もよく知っている西洋人の一人として、欧州連合(EU)のハビエ・ソラナ外交・安全保障上級代表の安全保障問題顧問に任命されていた。


 同氏は、「共通の停戦協定を見いだすために計画された、二〇〇二年と〇三年のカイロでのパレスチナ各派とエジプトのオマール・スレイマン大臣との交渉の間には、何も起こっているとは思えないほどの長い中断にしばしば困惑した」と書いている。同氏によると、「遅延の理由をハマス指導者たちに尋ねると、若いファタハのリーダー、バルグーティ氏の見解を待っているのだと言われた。当時バルグーティ氏はイスラエルの刑務所にいたので、パレスチナの新聞界でインティファーダの『エンジニア』と呼ばれていた同氏の見解がカイロに届くには少し時間がかかったのだ。ハマスが公式なファタハ代表団を放っておき、バルグーティ氏の意見を聞かずに先に進むのを拒絶するほど同氏の見解を尊重していたというのは印象的だ」


 クルック氏は、「ラマラの予備選挙で圧勝し、ファタハの候補者リストの最初に挙げられたのは、もちろんまだ刑務所にいるバルグーティ氏だ。ハマスとバルグーティ氏との間の互いに尊重し合う近しい関係は、インティファーダ以前から根づいている。私が知る限り、どちらも相手に事前に通知せずに重要な政策声明を出したことはない。……若手のファタハとハマスの間のこの強い結び付きは、まだ続いている。


 一方、ファタハの若い世代とチュニス亡命者を中心とする『保守派』指導部との関係は、反抗とあからさまな敵意に近い。最近のファタハ予備選挙の結果はこの関係を悪化させた。予備選挙は拘束力がなく、保守派は新しい世代が圧勝するのを見て、公式な候補者リスト作成の際にその結果を全く無視した。しかしバルグーティ氏の名はリストの先頭に挙げざるを得なかった。保守派が、自らを権力から一掃するような真の予備選挙の手続きを開始することを恐れたことは明らかだった」と述べる。


 クルック氏によれば、西欧諸国はハマスとファタハをライバルと考え、ファタハは議会選挙を若手候補者の流入によって復興しハマスの挑戦を撃退しようと苦闘していたと見なす傾向があったが、これは二つの点で間違っている。


 同氏は、「ファタハの若い世代の多くは、政治的にファタハ自身の指導者よりはハマスと近い。今回の選挙は、もし当選者たちが思い通りにできるならば、オスロ合意で凝り固まった一九九三年時の分裂よりはむしろ真の国家的まとまりへ向かう一歩であり得る。パレスチナ人による自らの抱負と目的の真に大衆レベルでの確認が、暴力の規模を縮小し何らかの永続する政治的解決に基盤を与えるための唯一の道であることは何年も前から明らかだ」と書いている。


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