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自衛隊違憲論/社民の回帰は戦術にすぎない

 社民党が自衛隊違憲論に回帰した。綱領的文書「社会民主党宣言」に盛り込まれる予定だ。
 冷戦後、声高々に非武装中立を唱える者がいなくなったが、心情的にそこから脱却できない者がいる。そのことを思えば、これを機会に「非武装中立論」なるものについて再考しておくことは、今後の日本の国家安全保障を考える上で有益だろう。



占領軍政策に忠実だった



 かつて土井たか子委員長(当時)は、「社会党(現社民党)は立党以来、非武装中立の旗を高く掲げてきた」と強調した。だが、これは事実を踏まえていない。


 日本は連合軍から降伏条件として武装解除を強要され、また、占領軍総司令官のマッカーサーが「日本は東洋のスイスたれ」と、中立を勧めたことがあった。この占領政策の実態が「非武装中立」であり、朝鮮戦争勃発(ぼっぱつ)直後まで占領軍の政策に忠実だった社会党が、これを取り入れた。


 朝鮮戦争勃発後、東西の冷戦が厳しくなるに従って、共産主義陣営の盟主、旧ソ連が自由主義陣営から日本を引き離し、共産主義陣営に組み込むために社会党への働きを強めた。この過程で「非武装中立」は革命戦術に転化した。武装蜂起して政権を奪取しても、自衛隊が反革命行動を行うだろうし、米国も安保条約を口実としてそれを支援するだろう。そうなれば革命の先進国からの軍事援助も受けられなくなるというわけだ。


 そこで非武装中立が、自衛隊解体、安保条約解消という具体的な形をとった。やがて、イタリア共産党の書記長トリアッチが唱えた修正共産主義である「構造改革論」を導入し、革命戦術としての非武装中立はより具体化した。自衛隊、安保条約の段階的解体・解消論がそれである。非武装中立は“政策”ではなく“戦術”であるが故に、村山内閣当時、いとも簡単に議論もなしに変更された。今回また、簡単に回帰することになったのである。


 このように見てくれば、「非武装中立」―自衛隊解体論、安保条約解消論は、日本に敵対的な外国に都合のよいものであることが分かる。それ故、党勢が退潮の一途をたどる社民党にとって見れば、日本に敵対的な外交政策をとっている国家の支援を期待できることになる。留意すべきは、近代、欧米諸国が有色人種国家の植民地化に成功したのは、欧米列強に内通する「内部の敵」の動きが大きかったことである。


 福島瑞穂党首は非武装中立への回帰理由として、有事法制整備や自衛隊のイラク多国籍軍への派遣などにより「自衛隊が違憲状態になった」と説明している。独立国が軍隊を持つのは当たり前だし、その軍をコントロールし防衛作戦を効率的に行えるように有事法制を整備することは不可欠である。


 また、一国の平和は領域さえ平和ならば確保されるものではない。日本は大戦後、他国の血と汗によって築かれてきた平和を一方的に享受してきた。国内社会はむろん、国際社会でも受益者負担が原則であるにもかかわらずだ。



外国の支援が狙いか


 それに忘れてならないのは、軍事力は強制実施機能とともに抑止機能を持っている点だ。この両機能は不離一体のものであり、強制実施機能が大きい方が抑止力も大きくなる。それ故、もし日本が侵攻軍事力に対応できる軍事力を保有していなければ、侵略を呼び込むことになりかねない。社民党はこの点を承知の上で、外国から支援を受けようとしているのだろうか。


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日朝交渉再開/拉致解決は北の誠意の証し

 日本と北朝鮮両国は北京で、拉致問題、国交正常化、安全保障の三つのテーマに関する初の並行協議を開く。国交正常化交渉は二〇〇二年十月以来、約三年三カ月ぶりだ。わが国は「拉致問題の解決なくして国交正常化なし」との基本方針の下、生存者の帰国と真相究明、拉致犯の身柄引き渡しを強く求めるべきである。

国際的に追い風が吹く


 拉致被害者については、横田めぐみさんら安否不明の十一人のほか、拉致された可能性が濃厚とされる特定失踪者三十四人がいる。生存者の帰国と真相究明を要求しなければならない。さらに拉致犯については、帰国した被害者の曽我ひとみさんが、横田めぐみさんの拉致実行犯の一人は警察庁が国際手配中の北朝鮮工作員・辛光洙容疑者だと証言している。同容疑者が関与、もしくは関与の疑いが浮上した被害者は四人に上る。


 同容疑者は工作活動で韓国当局に逮捕され、死刑判決を受けたが、二〇〇〇年六月の南北首脳会談で決まった恩赦で北に送還され、“非転向囚”の模範とされ記念切手の写真に使われるなどの「英雄」扱いを受けている。「実行犯は処分された」という北の説明は疑わしい。拉致工作の真相解明のためにも、実名を挙げて身柄引き渡しを求めるべきだ。


 重要なのは、拉致問題の国際的意識の認識だ。他国に入り、他国民を拉致し人質にするといった行為は主権侵害だけでなく、重大な人権違反である。そのため、ジュネーブの国連人権委員会や国連総会人権委員会で、日本人を含む北朝鮮による外国人拉致を「組織的な人権侵犯」と非難する決議が採択された。


 決議は欧州連合(EU)と日米両国などが提案したものだが、採択されたのは、拉致被害者が韓国、タイ、マレーシア、レバノン、ルーマニア、フランス、オランダ、イタリアなど十一カ国に及ぶことが判明したからだ。


 ブッシュ米大統領が、北朝鮮の人権問題を担当する大統領特使を新設したり、今回の一般教書で圧政国家の一つとして北朝鮮の名を挙げたのも、拉致問題への関心の深さを示すものである。日本は国際的な追い風を認識して、拉致問題解決を強く迫るべきだ。


 いま一つの国際的意義は、拉致問題は北の信頼性のリトマス試験紙であることだ。米政権の対北不信は深い。人権問題を中心に西側世界と価値観の全く異なる北朝鮮との交渉に、ブッシュ政権は極めて慎重だ。同大統領は昨秋の小泉首相との会談で「北の人権抑圧はひどい。暴君を暴君と呼んだまでだ」と金正日総書記を批判した。


 同総書記が先の訪中で、経済再建の重要性を認識し、経済支援を求めるなら、六カ国協議と日朝交渉で誠意ある対応を示すべきだ。そのためには、北の国際的な信頼性の回復が必要である。その鍵となるのが、拉致問題であることを主張すべきだ。


 ただ、正常化交渉での日本の独走は危険である。何よりも核ミサイル交渉は米抜きでは不可能だ。北朝鮮は六カ国協議において、米国の孤立化を狙って韓国を取り込み、中国、ロシアの支援を当てにしている。小泉首相が総裁任期切れまでの正常化を望んでいると踏んでさまざまな変化球で日米分断工作に出てくる可能性もあろう。



日米の協議を密にせよ


 政府は北の本質を熟知し、日米の協議を密にして六カ国協議に復帰するよう促すべきだ。国際社会との連携の下で、拉致問題の全面的解決を要求し、北朝鮮の誠意の有無を見極めることが必要である。


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北朝鮮学生、日の丸引きずり降ろす―ウィーン

 【ウィーン1日小川敏】音楽の都ウィーンで酒に酔った北朝鮮学生が昨年、日本レストランの入り口に掛かっていた日本国旗を引きずり降ろして逃げようとした出来事が起きていたことがこのほど明らかになった。

 ドイツ開催のワールドカップ(W杯)アジア最終予選B組で日本が昨年六月、北朝鮮と対戦、2―0で勝った後日の深夜、ウィーン大学に留学する数人の北朝鮮学生がウィーン市一区にある日本レストランの日本国旗を引きずり降ろして逃げ出し、それに気が付いたレストランの従業員らが学生たちを追いかけ、捕まえた。警察官が現場に来て学生を尋問したところ、彼らが北朝鮮学生であることが分かった。


 警察官は「国旗を引きずり降ろしただけで、何も発生したわけではない」という理由から学生たちをその場で釈放したという。



半年以上もたって、なぜこのニュースが出てきたのだろう?それにしても、このニュースが、対北朝鮮戦直後に報道されていたら、相当問題になったろう。

酔った勢いとはいえ、日本人としては、許されざる行為だと感じるのは、私だけだろうか?

管理人談

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ダメな日本を建て直せ
日本再建のための新聞だ
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性差否定より過激な上野教授-国分寺市「人権講座」問題

東京都への抗議文で判明
「ジェンダーがセックスを作る」


 上野千鶴子東大大学院教授が昨年、都の意向により国分寺市「人権講座」の講師から降ろされたことに対し二十七日、若桑みどり川村学園女子大教授ら五氏は都に抗議文を提出したが、その中で、政府でも使わない過激なジェンダー定義をしていることが判明した。政府は昨年末、第二次男女共同参画基本計画で、「ジェンダーは中立的な概念」と主張し、その盛り込みにこぎ着けたばかりだが、今回の出来事は、上野氏をはじめ、今の女性学者の多くが一般国民が到底理解できないジェンダー論に染まっていることを露呈した。

(ジェンダー問題取材班)


 この講演中止を「言論・思想・学問の自由」の侵害とする抗議文の呼び掛け人は、若桑氏以外に米田佐代子・総合女性史研究会代表、加藤秀一・明治学院大学教授ら五人。


 記者会見で配布された抗議文は、ジェンダーを「性別に関わる差別と権力関係」と定義。このため、ジェンダーフリーは「『性別に関わる差別と権力関係』による、『社会的、身体的、精神的束縛から自由になること』」としている。


 自民党の「過激な性教育・ジェンダーフリー教育実態調査プロジェクトチーム」(PT)は昨十二月、「ジェンダーという言葉が教育現場で様々な混乱を引き起こしている」として「第二次・基本計画」への盛り込みに難色を示した。


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「苦情処理機関」の悪用画策-男女共同参画推進グループ

「バックラッシュ封じ」に使え/「フェミニストの権力機関」との批判も

 全国で制定されている男女共同参画条例には、男女の特性を否定するジェンダーフリー思想が導入され過激な性教育の温床となり社会問題となっているが、推進派が条例のもう一つの特徴である苦情処理機関(オンブズパーソン制)を悪用して、条例の問題点を追及する保守派の動きを封じる作戦を企てていることが推進派の女性市民グループの機関誌で明らかになった。(編集委員・鴨野 守)

 男女共同参画社会基本法制定後、各地で同条例が制定され、これとともに学校現場では混合名簿、男女密着体操、「さん」付け呼称統一、同室着替え、また公共施設のトイレの同色表示などさまざまな混乱を引き起こしている。この根底には、伝統的な役割分担を否定する思想が色濃く流れている。


 こうした流れに対して、保守派は「差別は無論いけないが、生物学的な男女の違いや伝統的な性別役割分担を否定することは日本の伝統文化、家庭の破壊につながる」と強い危機感を抱いて、見直しを求める動きが広がってきた。


 推進派は、このような動きを「バックラッシュ(反動)」と決め付けて反発。昨年十一月十二、十三日に埼玉県の国立女性教育会館(NWEC)で開かれた北京JAC第十回全国シンポジウム(実行委員長、橋本ヒロ子・十文字学園女子大学教授)でも討議されている。


 この北京JACは一九九五年、北京の国連世界女性会議に参加した日本のNGO(非政府組織)団体が中心となり、女性差別、女性への暴力撤廃を目指して政府・自治体・政党などにロビー活動や政策提言を行っている。全国十四の活動拠点があり、そのメンバーは地方の男女共同参画条例の制定に積極的に関与している。同シンポには、定塚由美子・内閣府男女共同参画局推進課長も来賓としてあいさつしている。


 初日の十二日夜、約六十人が参加して「バックラッシュにどう対応するか」をテーマに自由討論会が行われた。北京JACの機関誌第百号(平成十七年十二月一日発行)に、実行委員長の橋本ヒロ子氏自らが司会をして記録を担当している。


 そこでは、以下のように報告されている。

 ▽女性団体などからの反対で条例の改悪は免れたが、条例が実施されない。

 ▽条例制定を推進する市民の会につくる会(新しい歴史教科書をつくる会)系が入って、かき回すだけでなく、パブリックコメントなどに反対意見を多くおくった。公聴会が開催されると、山口、太宰府からもバックラッシュ派が出かけてきた。


 ▽条例制定委員会の公募委員につくる会系が入り、審議状況が世界日報に逐一紹介される。

 ▽DV(家庭内暴力)防止法と児童虐待防止法を、家族を壊す法律として攻撃。学校教員でつくる会の野牧雅子氏が暗躍。


 そしてこの「対応策」として出たのが、「訴訟を起こす」とともに「苦情処理を利用する(私人間の人権侵害に対応している男女平等条例が制定されている自治体はそれほど多くないが、可能なルートを活用)」と明記されている。


 男女共同参画の推進を阻害すると思われる場合の苦情を処理し、人権侵害を受けた被害者を救済するという名目とは裏腹に、苦情処理機関を、推進派のフェミニストや一部運動家が目障りな人物を追い落とす道具に悪用しようとしている“本音”が露見した格好だ。


 全国の条例の動向を追ってきた「日本時事評論」編集長、山口敏昭氏は「この苦情処理機関こそ、フェミニストの思想実践を推進するための権力機関にほかならない。一部のフェミニストや運動家が住民を監視・規制するシステムにほかならず、まさに人権救済ではなく、新たな人権侵害機関になる危険をはらんでいる」と批判している。


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ダメな日本を建て直せ
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相次ぐ情報流出/看過できないスパイ活動

 陸上自衛隊の地対空ミサイルデータの北朝鮮流出疑惑やヤマハ発動機による無人ヘリコプターの対中不正輸出など、わが国の安全保障を脅かす出来事が相次いでいる。
 これらは日本国内で依然、スパイ活動が活発に行われている証左で、スパイ防止法が存在しないわが国の安保体制の脆弱(ぜいじゃく)性を浮き彫りにしている。



日本の安保揺るがす不正



 警視庁公安部は昨年十月、薬事法違反事件で北朝鮮系の「在日朝鮮人科学振興協会」(科協)を家宅捜査したが、その押収品の中に陸上自衛隊が二〇〇三年から配備している中距離地対空誘導弾システム(中SAM)のデータが含まれていたことが分かった。


 このデータはすでに北朝鮮に渡っているとみられ、これを基に北朝鮮が対処能力を備えれば、地対空ミサイルによる防衛力が低下し、わが国の安保体制が揺らぐ。


 いったい誰が防衛情報を科協に渡したのか、徹底究明が不可欠である。流出していたのは、三菱総合研究所が作成していた戦術弾道弾(TBM)に関するシミュレーションソフトとされる。北朝鮮の工作員やそれに協力した日本人がいることは間違いあるまい。


 〇三年には科協幹部を通じて軍事転用が可能なジェットミル(超微粉砕機)を不正輸出した工作機械メーカーが摘発されている。同年には東京・大田区の北朝鮮系企業が核開発に使われる「直流安定化電源装置」の不正輸出を企てる事件も発覚している。


 米上院小委員会の公聴会で北朝鮮から亡命した元技師は「北朝鮮で製造するミサイル部品の90%は日本から輸出されていた」と証言している。これらは拉致にもかかわったスパイ工作網が依然、国内に温存され、工作活動を活発に行っていることを示している。


 一方、ヤマハ発動機の無人ヘリの不正輸出事件は一月二十三日、静岡、福岡両県警が摘発したもので、農薬散布や空中撮影などで使う無人ヘリを中国・北京の航空会社に輸出しようとした容疑だ。無人ヘリは軍事転用が可能なため外国為替法で輸出が規制されているが、ヤマハ発動機は性能を故意に過少申告して輸出してきた。


 〇二年五月には中国国営新華社がヤマハ発動機の無人ヘリを基礎に、中国の国産無人ヘリを研究開発し「科学研究面、軍事上で重要な価値がある」(北京時事)と報じており、軍事転用がすでに行われている。

 この事件では中国人ブローカーが暗躍し、その一人は中国共産党中央対外連絡部の関係者とも伝えられる。ここでもスパイ工作員の活動は疑う余地がない。わが国はスパイ活動を取り締まる法律がないことから「スパイ天国」と呼ばれて久しい。


 米軍再編が本格化し、新たな日米同盟の構築を目指すが、ここでもスパイ活動が危惧されている。ミサイル防衛などで技術情報を共有し、司令部の統合運用や基地の共同使用、統合的な高度技術の交換も行うことから、日本側からの情報漏れが懸念されるわけだ。ミサイル防衛(MD)開発では三菱グループが参画するとされている。



スパイ防止法の整備急げ


 このため政府は米国と防衛秘密の取り扱いに関する規則を定める「軍事秘密一般保全協定(GSOMIA=ジーソミア)」を新たに結ぶ方向で検討に入っている。


 だが、協定を結んでも、それを実効性のあるものにするには国内法の整備が不可欠だ。スパイ活動が「民間人」を含めて広範に繰り広げられている実態を見据え、スパイ防止法の整備を急ぐべきだ。



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市民団体モデル案丸写しー男女共同参画条例

市民団体のモデル案、丸写し-飯塚市の男女共同参画推進条例
那珂川町、久留米市の条例も酷似
“司令塔”存在の証左/議会での審議は「セレモニー」に


 男女共同参画推進条例が各地で審議・制定されているが、昨年三月福岡県飯塚市で可決した同条例が、市民団体「実効性のある男女共同参画推進条例をつくり活かす会」(代表、今里佳奈子熊本県立大学助教授)が作成した「条例モデル案」(A4判サイズで八㌻)とわずか数カ所の細かい字句を除いて、一字一句丸写しの条例であることが本紙の調べで明らかになった。同県内の那珂川町の条例もモデル案に酷似、久留米市条例も同モデル案をベースに作成されたことがうかがえる。地元関係者は「各地の条例作成委員はそれぞれまったく別人物でありながら、同じ条例が出来上がっているということは、“司令塔”の存在がある証左。税金をかけ、多くの関係者が審議したのはただのセレモニーだったわけであり、議会制民主主義を全く愚弄(ぐろう)するもの」と憤慨する。

(編集委員・鴨野 守)




 飯塚市では、国の男女共同参画社会基本法を受けて、平成十二年三月策定の「いいづか男女共同参画プラン」に基づき、十五年八月に公募三人を含む十人の条例策定専門部会が発足した。同九月から二度の研修会を開き、同十二月から十六年七月まで九回にわたり毎回二、三時間を割き「条例に盛りこむべき項目」について議論を重ねた。条例案に対する公聴会も開催し、会場での意見および電子メール等で二百八十六件の意見が寄せられたという。

 条例の内容については一部保守系議員や一般市民からも異論が出たが、推進派の女性グループが議員や市長に対して「原案の尊重」を強く申し出、昨年三月に可決した。


 しかし、飯塚市男女共同参画推進委員会がまとめた条例案は、市民団体「実効性のある男女共同参画推進条例をつくり活かす会」が内部で作成した「条例モデル案」と数カ所の字句の細かな違いだけで、章ごとのタイトルから句読点まで「モデル案」を完璧(かんぺき)に丸写ししたものとなっている。


 表現が違っているのは、第1条の中で「市、市民及び事業者等の責務」(モデル案)が「市の責務並びに市民及び事業者等の役割」に、第18条のタイトル「参画施策の実施体制の整備」(モデル案)が「参画プラン施策の実施体制の整備」に、第20条の「要因によって」(モデル案)が「要因による」に、オンブズパーソンの数が「3人」(モデル案)が「2人」に、第39条から40条の「参画審議会」(モデル案)が「参画推進委員会」という字句のみ。


 議会でも第7条のタイトル(市民の責務)が(市民の役割)に、第8条のタイトル(事業者等の責務)が(事業者等の役割)に、第15条から「特に自営業にあっては」を削除、第14条と第15条の順序を入れ替えただけで可決した。


 「活かす会」のモデル案の特徴は、苦情処理条項を設け、行政監察官であるオンブズパーソンを任命し、男女共同参画の推進を阻害すると思われる場合の苦情を処理し、人権侵害を受けた被害者の救済に重きを置いている点だ。


 しかも、オンブズパーソンが「自己の発意」すなわちオンブズパーソン本人が「人権侵害だ」と判断した場合は、それだけで調査を行い、必要な措置が取れるという極めて強い権限を保持。市に対して是正勧告を行ったり、改善されていないと認める時は市長に、状況を公表するよう求めることができる。また、職務遂行には「民間の関係団体と連携を図るよう努めなければならない」という一文が入り、人権団体や運動団体の関与を容認している。


 地元の市民グループ「住みよい筑豊の会」(代表・佐谷正幸氏)からは、「オンブズパーソンとは本来、権力を持つ行政の行き過ぎを防止するためのものであり、逆に権力を持たない市民を監視するのは本末転倒、根本的な間違いであり、越権だ」と条例案の見直しを求める陳情や要望が議会に何度も出されたが、見直しはされなかった。


 那珂川町の条例文言もモデル案と酷似している。オンブズパーソンではなく「苦情処理委員」という表現だが、オンブズパーソンと同じ権限を与えている。久留米市の男女平等を進める条例では、男女平等推進委員という名称で、「自己の発意による苦情等の処理」ができるなど、ほぼモデル案を踏襲した内容になっている。太宰府市でも太宰府市男女共同参画審議会が答申として出した条例案は、ほぼモデル案と同一のものだった。議会の審議でオンブズパーソンが「推進委員」と名称が変わり、「自己の発意による苦情等の処理」などが削除された。


 昨年十一月九日、飯塚市議会総務委員会で小幡俊之市議が、条例が制定されるまでの予算について質問。男女共同参画推進課長は、条例策定専門部会委員への報酬、講演会、市民意識調査、公聴会などに約二百万円かかり、また広報活動として年二回発行の男女共同参画推進センターの情報誌の経費が六十三万円要した、と答弁している。

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伝統の危機――皇室典範改正を問う


皇室典範問題研究会代表・東大名誉教授 小堀桂一郎氏に聞く(上)
旧宮家の皇籍復帰を/占領政策で廃された皇室の藩屏


 小泉首相の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」が、女性天皇・女系天皇を容認する報告書を提出したのを受け、政府は皇室典範改正案を通常国会に提出しようとしている。皇位継承問題を早くから研究し民間サイドから提言を行ってきた皇室典範問題研究会代表の小堀桂一郎・東京大学名誉教授は、戦後、占領政策によって廃止された旧宮家の皇族復帰こそ安定的皇位継承の道であると強調する。

(聞き手=文化部長・藤橋 進)



 ――女性天皇・女系天皇を認め長子相続を優先する有識者会議の報告に沿って、政府は皇室典範改正案を通常国会に提出しようとしているが、事の重大さに比してあまりに拙速であるとの批判があります。


 十六年の暮れに小泉総理の私的諮問機関として「皇室典範に関する有識者会議」が招集された時、メンバーの顔触れを見て危機感を覚えました。率直に言って皇室制度に深い考えをお持ちの方がいるとは見受けられない。そして政府の方針に反対するような人は一人も見当たらない。


 その後、有識者会議の討議を見守ってきたわけですが、昨年の夏ごろまでは、ひょっとしたら、女性天皇を認めるが男系は維持するというような両論併記の答申が出るのではないかと思っていた。ところが、夏が過ぎて秋の初めになると明らかに空気が変わり、両論併記を主張するかもしれないと思われていた人たちも全部、女系天皇を認める方向へなびいてしまった。やはり、九月十一日の選挙で小泉政権が大勝して勢いに乗ったということがあると思います。いずれにしても、ほんの十一カ月ほどの議論で、全部で十七回の会合の十四回目にはもう結論が出ていた。こんな短時間で、こんな大問題を決めてよいものかという強い批判があるのは当然です。



 ――先生が代表をされている「皇室典範問題研究会」は平成十三年の七月から研究を開始し、十七年の一月に提言を発表していますが、そのポイントは?


 皇室典範改正という形で、女性天皇を認めたりする前に、打つべき方法はいくらでもあるのではないかというのが一番の骨子です。そしてその方法とは昭和二十二年に、占領軍の処罰的占領方針によって一斉に皇籍離脱を余儀なくされた十一宮家の方々に皇籍に復帰していただくということです。十一宮家の中、六家の皆様がご健在で、そのうち北白川家を除いて五つの宮家にちゃんと男子の跡継ぎの方がいらっしゃる。


 根本的に言えば、これらの宮家は、言ってみれば皇位継承予備軍として設立された存在なのです。このままでは男性の皇位継承者がいなくなるということで皆が心配していますが、元皇族に復帰していただければ、男性の皇位継承者は何人も出てくる。なぜそれを考えないのか。こうした大変革、昔風にいえば国体の変革に当たるような皇室典範の改定を言い出す前に考えておくべき手は十分ある。


 そして高円宮様が薨去(こうきょ)された時にも提言しましたが、皇族の数を増やすことによって、今の皇族方の公務のご負担を少しでも分散して軽減することができる。昔風にいうなら皇室の藩屏(はんぺい)となっていただくことができるのです。

 


――そもそもGHQ(連合国軍総司令部)は、なぜ旧宮家を廃止したのですか。


 皇室の弱体化のためです。アメリカは、日本との戦いを通し、日本軍が既に敗勢が明らかな状況下であれほど頑強な抵抗をした理由には天皇への忠誠心、天皇制にあるということを知るのです。



 ――対日占領政策遂行のため、天皇制は維持した方がいいというのがマッカーサーの方針ではなかったのですか。


 ポツダム宣言の受諾前に、日本政府が降伏後の政体についての保障をアメリカ政府に問い合わせた時、バーンズ国務長官は、降伏後の日本の政体については、日本国民の自由意思に任せるとしていた。アメリカとしては、第一次大戦後のドイツやオーストリアのように、天皇は退位を余儀なくされ、国民の支持を失った皇室は自然消滅すると考えていた。ところが、マッカーサーが進駐し占領を始めてみると、それが大きな見込み違いだったことが分かるのです。九月二十七日には天皇のマッカーサー訪問があり、マッカーサーは対日占領を無事遂行するためには、天皇の存在は不可欠であると判断し、天皇擁護に変わってしまう。そういうマッカーサーと国務省、統合参謀本部の間の妥協の産物として、天皇制は残すがその勢力を極力弱めるということで十一宮家の廃止ということになったのです。


 こぼり・けいいちろう 昭和8年東京生まれ。東京大学文学部博士課程修了。東京大学教授を経て現在、同名誉教授、明星大学日本文化学部教授。著書に『森●(「區」の右に「鳥」)外―文業解題』『宰相鈴木貫太郎』『再検証東京裁判』などがある。


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米牛肉輸入禁止/信用回復へ米は誠実な対応を


 米国産の輸入牛肉にBSE(牛海綿状脳症)の危険部位が混入していた問題で、日米両国政府は局長級会合を開き、ペン米農務次官が謝罪した。米側は、原因と再発防止策に関する最終的な報告を取りまとめる方針を示した。


条件守る意思があったか


 米側が日米の合意事項を順守できなかったことは遺憾だが、日本の消費者の信頼を回復できるよう早急に原因を究明し、再発防止策を徹底するなど誠実な対応を示さねばならない。日本側もその報告を受けた上で輸入再開の是非を判断すべきで、いたずらな感情的反発は避ける必要がある。


 米牛肉の輸入禁止は二〇〇三年末、米国で初めてBSE感染牛が確認されたことによる。日米両政府は、一年半に及ぶ協議の末、昨年十二月に①生後二十カ月以下の牛に限定②病原体の異常プリオンが蓄積しやすい脳や脊髄(せきずい)など危険部位の適切な除去――の二条件を満たせばBSE検査なしで輸入することを認めた。


 これは食品安全委員会で科学的議論が尽くされた結果を踏まえた判断で評価できる。しかし、今回、輸入肉の中に、特定危険部位が混入していたことが発覚した。米側が条件を守らなかった以上、輸入禁止は当然だが、新たな教訓も得られたはずだ。これを機に、より効果的な再発防止策を日米双方で考える必要がある。


 確かに「ボールは米側にある」(中川昭一農水相)が、「政府は最も守るべき国民の生命と健康をないがしろにした」という前原誠司・民主党代表の代表質問での指摘は的を射ている。


 問題の牛肉に輸出証明書を出した米農務省検察官が、危険部位の除去義務を知らなかったという。また、検察官が出荷段階だけでなく、牛を解体する段階でも混入を見逃していたことが明らかになった。米側はどこまで二条件を守る意思があったのか。


 米国は、少なくとも検査官および日本向けの食肉処理をしている全施設の担当者に対して、義務の周知を徹底させるべきだ。また、検査態勢の見直しも必要である。


 日本政府の代表が施設を訪れ、その確認を行うことも消費者を安心させることにつながろう。先月、輸入再開直前、農水、厚生労働両省の調査団が米コロラド州の食肉処理場を訪れ、安全性を確認した。今回は米政府の対応を踏まえ、約四十の全施設の立ち入り検査を実施したらどうか。また、食肉処理作業員の技術レベルに疑問が出ている。米側が危険部位の除去を確実に行うために、どう取り組むのか注目したい。


 一方、今回の問題の牛肉は、通関で一部位につき一箱以上を抜き出して検査して発見されたが、もっと検査数を増やす方向で検疫体制を強化する必要があろう。また、安倍晋三官房長官は、国内の輸入業者に既に輸入された牛肉に危険部位が混入していないかどうか自主的に調査し、報告するよう求めたが、当然の措置である。


 ただ、家畜の安全基準を定める国際獣疫事務局(OIE)は、生後三十カ月未満の牛は「BSEが見つかる可能性が少ない」として、各国に検査を求めてはいない。日本だけが全頭検査を行っている。従って、輸入再開に当たり食品安全委員会による米国産牛肉の危険度の再評価をするには及ぶまい。



米の改善策に冷静な判断を


 米側が当初の再開条件とした二条件を守るよう、どう改善したかを冷静に判断することが求められよう。日米両国の信頼関係を高める方向での米側の緊急対策と追加対応策を求めたい。



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堀江社長逮捕/疑惑の錬金術にメスが入る

 大方の予測通り、東京地検が証券取引法違反疑惑の渦中にあるライブドアの堀江貴文社長ほかを逮捕した。捜査当局筋から伝わってくる諸情報を総合判断すれば、被疑者らの容疑は極めて濃厚といわなければならない。逮捕に至ったのは当然だろう。

 容疑は、ライブドアとその関連企業集団にかかわる粉飾決算および偽計取引に絡む。実態解明は、この種の悪質な事件の再発防止にも結び付く。徹底した追及で、何があったのかを明らかにするよう改めて強く望みたい。



目につく異常な手法


 これまでの捜査の過程で浮かび上がってきているのは、独特の企業買収の手法で、ライブドアの支配下にある投資事業組合をいわばトンネルに使っての陰湿ながら巧妙なものだった。すなわち、買収対象会社の株式をまず隠密に組合に取得させ、ライブドアあるいはグループ企業が新株を発行し、それを組合が保有する買収対象会社の株式と交換する方法が、とにかく目につく。


 企業買収の一般的なやり方は、こんな方法にはよらない。株式市場での浮動株の買い集めが、ごく普通で、買収目的ではなく大株主としての影響力の確保をねらってのライブドア本体のニッポン放送株大量取得も、立会時間外だが市場を通じてのことだった。それが企業買収に当たっては組合を通じる。実際の交換には、必要以上の新株を発行して組合に渡し、その上でライブドア側に好都合な情報を流すことにより、組合に手渡したライブドア本体あるいはグループ企業の株式を有利に第三者に売却させた可能性が大きい。ライブドア型の現代版錬金術の秘密は、その辺にあろう。


 疑いは、異常ともいうべき株式分割にもあろう。普通なら、株式の分割は、株価が高くて一般の投資家には買いにくい状態になった場合、一株当たりの配当金は増やさないが分割で株主の持ち株数を増加させて実質的に株主の受け取る配当金を増額する場合――などに実施する。それだけに、一社当たりの実施度は高くはない。ところが、ライブドアに限っては、度数は多いし分割の程度も他に例をみぬほど大きい。粉飾決算疑惑と重ね合わせて、ここにも独特の違法の錬金術の秘密が潜むと推定できよう。


 これらライブドア独自の経営風土から目につくのは、世の役に立つ仕事をした結果としての利益の獲得ということではなく、お金を稼ぐために株式会社や株式市場の仕組みを限りなく利用し、ときには法律や制度の不備に乗じることもあえてする――というものだろう。もちろん、社会の良識ないし善意などは当初から眼中にはないに違いあるまい。


 その辺の事情に関し、堀江社長の周辺は、「堀江は存知しないはず」と捜査当局に対し弁明したことが伝わっている。だが、この弁明は通用しない。新株発行や株式分割、決算の扱いなどは、組織の最高責任者の権限と責務に、まぎれもなく属する。知らぬ存ぜぬはあり得ない。それだけ、堀江社長の責任は、重く、かつ大きい。



首相らの責任も重大



 責任といえば、小泉首相、竹中総務相、自民党の武部幹事長らが昨年の総選挙で今は容疑者になった堀江社長を自民党公認に実質的には準じる候補者として扱ったことも、重大というべきである。昨年二月のニッポン放送株取得の時点でいかがわしさのほのみえた人物を国政に参加させようとした醜態は、軽々には見すごせない。有権者に深く謝罪すべきである。


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