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国会経済論戦/精密な状況分析が足りない


 来年度予算政府案を中心議題に政府・与党と野党との論戦が衆議院予算委員会で始まっている。国のあらゆる施策が、予算の裏付けなしには具体化しない。予算案の審議が国政の万般に及ぶのは、したがって、当然ではあろう。
 しかし、その大前提として、国民経済全体の現況と現況を導き出すに至った諸要因を鋭く分析しつつ、望ましい経済運営の在りようを探る踏み込んだ論議の展開が、是非とも欲しい。

経済運営の根幹に迫れ

 そうした観点からすると、昨今の日本経済の姿を、きわめて多数の政治家が、いわば不可避的な成り行きから出現した与件と錯覚してしまっているのではないのか、そういう疑いを持たざるを得ないことを、深刻な問題として指摘しておかなければならぬ。分かり切ったことだろうが、そう錯覚してしまったのでは、小泉現政権による経済運営の欠陥は見えてこないし、取って代わるべき建設的で説得力のある新たな運営策の提示も出てこようはずがないだろう。

 経済運営の在りようの根幹に迫る質疑が全くないのではない。例を挙げれば、中塚一宏議員(民主党)のそれには、耳を傾けるべき中身が確かにあった。日本経済の現況は、有力企業の高収益にもかかわらず被雇用者の所得はそれに伴わず、そのため個人消費が伸び悩んでいること、そこで国内需要が弱く景況は輸出依存の状態になっており、純輸出の増勢が止まれば景況は失速するだろうこと―などは、それなりに、現政権による経済運営の欠陥を突くものだったといえる。

 残念だったのは、被雇用者への分配率がなぜ低い水準に止まっているのかについての検証の不足だろう。そこには、高収益企業による設備と人への投資が海外にまぎれもなく流出している厳とした実情が存在し、かつ、現政権の荒っぽい経済運営とも少なからず関わっていることを、否み得ない。

 中国をも含めて、アジアは新たな経済の歴史的興隆期に入ってきており、好条件の投資機会が明らかに増大している。しかも、そこでは、人件費がすこぶる安い。経済成熟国の有力企業ないし実力派企業がそこに着目するのは、必然の動きに違いない。

 日本の国内事情がそれに重なっている。構造改革に名を借りた力づくでの財政再建策と強引な不良債権退治政策の推進で、国内需要の復活が後回しになり、国内での追加的な需要開拓は効率が悪い。高収益に伴う投資余力のかなりの部分が、こうして海外に流出することになった。欧米主要国の実力派諸企業との競争意識は、その勢いに拍車をかける。

 こういった関係から、国内景況の回復は勢いを欠き、輸出依存度を高め、純輸出が伸び悩めば景況は失速の危険に直面する。関連して、国内需要の復調を今日なお二の次にしていることの損失の吟味、国民経済における企業の役割、死語と化した感のある所得政策の導入の可否などが、新たな検討課題として浮上してきても、おかしくはないだろう。

 そういった意味で、中塚質問は、若干の不満を残した。竹中経済財政担当相が、被雇用者の分配率はバブル期に行きすぎて上昇したものが修正段階に移ったなどと逃げたのも、だからだったのだろうが、残念ではあった。

有権者追従には節度を

 近ごろの国会論議では、各議員とも地元有権者の意をいかに迎えるかの論を繰り広げることに懸命になっているとの印象を受ける。それでいいのか。

北朝鮮のどうなるか?ヨミウリとSAPIOの見解

北朝鮮・金正日政権崩壊説取り上げたサピオとヨミウリに欲しい米国人専門家発言の検証

2誌にネオコン論客

 NHKと朝日新聞の衝突は、双方とも一歩も引かず対立したまま「泥仕合」(週刊新潮2・10)の様相を呈している。先々週、この欄で取り上げた同誌(1・27)の「朝日『極左記者』とNHK『偏向プロデューサー』が仕組んだ『魔女狩り』大虚報」記事に対して、朝日新聞社は一月二十日付、広報宣伝本部長名で、訂正と謝罪を求める抗議文を同誌あてに送っている。「極左記者」とその取材ぶりが暴露されたことがよほどこたえたと見えるが、一方の「偏向プロデューサー」といわれたNHKは同記事に抗議している様子はないので、朝日の慌てぶりが余計に目立つ。

 さらに追い打ちをかけるように今週も「『朝日・NHK』泥仕合の『つらい後始末』」の特集を組んで、朝日新聞への不買運動、NHK受信料不払いなど、読者・視聴者の反発の強さを伝えている。だが、受けたダメージの回復や「後始末」よりも、まず“真相”はどうだったのか、その追及だけは報道機関としてやってもらいたい。あいまいなままでの幕引きをさせないように週刊誌は監視の目を光らせてもらいたいものだ。

 さて、話題は変わって、今月は北朝鮮の金正日労働党総書記の六十三回目の誕生日を迎える。昨年あたりから、息子たちのうち、誰が後継者に指名され、いつ表舞台に登場するかが関心の的となっているが、二月十六日の誕生日前後は、それが公表される可能性が高いと見て、“おさらい”記事が散見される。

 金総書記自身が七〇年代初めに登場してから約二十年かけて権力を世襲していったこと、また今年で六十三歳になることなどを考え合わせると、ここ一、二年が後継者決定のタイムリミットになるのではないかという見方だ。

 しかし、今後も平壌で誕生日を迎えられるかどうか分からない、という指摘が登場して、にわかに騒がしくなった。震源は「ネオコン(新保守主義者)の論客」と言われている米ハドソン研究所のマイケル・ホロウィッツ上級研究員である。同氏は「北朝鮮の崩壊は時間の問題」「金正日政権は年内に崩壊する」と断言するのだ。この発言は「サピオ」(2・23)と「ヨミウリ・ウィークリー」(2・13)に取り上げられた。

年内崩壊説を並べる

 三ページにわたるサピオの記事は、ホロウィッツ氏へのインタビューをまとめたものだ。同氏の描く「北朝鮮崩壊」のシナリオは三つである。①中国が北朝鮮を併合する②東西ドイツ統一のように、三八度線が崩壊して南北が統一される③軍がクーデターを起こし、交渉のできる暫定政権を立てる――である。

 このうちシナリオ③を「最も理想的」といい、米の「北朝鮮人権法の成立によって、軍幹部によるクーデターが最も可能性が高くなった」と指摘する。その上で、「中国政府はすでに金正日の後釜に座る軍幹部を選び、その軍幹部が政権を奪取すれば国家非常事態を宣言し、中国に20万人の人民軍を派遣するよう要請する、というシナリオを検討しているとの情報もある」と言っている。

 同じ話題をヨミウリ・ウィークリーも取り上げている。しかもホロウィッツ氏のシナリオだけでなく、ブッシュ米政権の北朝鮮担当大使を歴任したジャック・プリチャード現ブルッキングス研究所客員研究員も「北朝鮮は中国に吸収されるだろう」と指摘していることを知らせている。

 だが、ヨミウリがサピオと違うところは、異論も併記していることだ。「ブッシュ政権は、プリチャード氏の『中国吸収説』について、「素人にありがちな考え』と一蹴」したことや、朱建栄・東洋学園大学教授、伊豆見元・静岡県立大学教授といった専門家も中国による併合を疑問視していることを紹介した。

米国の出方に触れず

 ホロウィッツ氏へのインタビューをまとめただけのサピオと、複数のそれも反対のコメントも併記したヨミウリでは、読者への説得力が違う。

 ただ、両誌ともに言えることだが、北朝鮮が中国に併合されることを米国が座してみているはずもなく、ホロウィッツ氏やプリチャード氏の発言の真の狙いがどこにあるのかも、検証してほしかった。

 しかし、つくづく韓半島の地政学的宿命を実感させられる。約一世紀前、半島の権益をめぐってまず日本と清が衝突し、日本が清を追い出して半島の権益を押さえ、さらに併合した。その後日本の敗戦によって、半島は独立するが、南北分断国家となり、北はソ連、中国の強い影響下に入り、南には米軍が駐屯して現在に至っている。そしていままた、北半分とはいえ、中国が併合して勢力圏に組み込もうとしているという。自らの意思で在り方を決められなかった半島の過酷な歴史である。

 中国は一八九五年、伊藤博文と李鴻章との間で結ばれた「下関条約」で失った半島での権益を一世紀以上かけて取り戻そうとしているのだろうか。

日本のブッシュ批判に疑問あり

日本のマスコミによるブッシュ批判が続いている。確かに米国内でもブッシュ批判があることは確かだ。

ただ、日本のマスコミがブッシュ批判をするのは、わけがありそうだ。


自由の戦略を欠いた安手の価値論/背景に国益無視した反米思想
外交評論家 井上 茂信

価値相対論的なリベラリズム

 ブッシュ大統領は二期目に入ったが、日本のマスコミのブッシュ叩きは大流行だ。レーガン米政権が誕生した時も同じだった。日本のマスコミのブッシュ批判の最大の原因は、米国のリベラル派のマスコミ(ニューヨーク・タイムズ紙やワシントン・ポスト紙)の強い影響下にあることだ。また、マスコミ人自身の間に“米国の戦争に巻き込まれるな”という六〇年安保以来の反米意識が根強いことだ。

 彼らのブッシュ批判の問題点を考えてみよう。

 まず、彼らはイラク問題で米国の価値観を押しつけようとしていると批判する。同大統領は二期目の就任演説で、自由の理念を世界に広げることを目指す「自由戦略」を宣言した。批判論者はイスラム世界にはイスラム世界の価値観があり、米国の価値観の押しつけは横暴だと主張する。

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ロシア特典廃止/抗議広がりロ政権に新試練


 ロシア政府は今年一月から社会保障制度改革の一部を断行したが、これが特に年金生活者など社会的弱者の生活を締め付ける措置だとして国民の不満を呼んでいる。
 抗議行動はロシア全土に拡大し、社会不安の様相を呈した。新しい政策が街頭での激しい抗議デモを招いたのは二〇〇〇年のプーチン政権発足以来初めてである。

プーチン批判に発展も

 問題になったのは、ソ連時代から行われてきた特典制度を廃止し、現金支給に改めるという「特典現金化法」の施行だ。

 高齢者や退役軍人、戦争功労者、身障者、チェルノブイリ原発事故の被ばく者らが享受していた公共交通機関の無料乗車や医薬品の無料配布などの特恵を廃止する代わりに毎月一定の補助金を支給するというもの。光熱費の免除・割り引きも廃止されることになった。 学生や軍人、警察官らもそれぞれさまざまな恩恵にあずかってきたが、それらが打ち切られた。

 政府は新方式導入で国民の暮らしの質が高まると主張した。しかし、約三千二百万人にのぼる福祉対象者の三分の二が反対していると伝えられる。

 補助金の額もわずかであるほか、責任を持たされた地方行政機関に現金が不足しているため、支給が遅れがちだといわれ、年金生活者の財布を直撃しつつある。

 また、多くの人びとは現金を支給されても、インフレによって実質的に目減りしてしまい、生活レベルの低下につながるとの警戒心を捨てていない。社会主義時代から続いてきた一部の住宅補助も廃止されることになっている。

 怒りを爆発させた年金生活者らは厳しい寒空の下、街頭に集まり、政府非難のプラカードを掲げて抗議行動に出た。最初はモスクワやサンクトペテルブルクなど主要都市で見られ、それも自発的な性格をもっていたが、抗議行動は徐々に組織的なデモに変わり、全国規模に広がった。

 参加者たちは地方行政府庁舎前などでピケを張り、抗議集会で特典廃止撤回を求める決議を採択した。中には新法導入への反対だけではなく、官僚機構を大幅に縮小し、それによって浮いた原資を特典制度の復活に回すよう要求する声も聞かれた。主要幹線道路を封鎖する実力行使に発展した地方もあるという。

 一方、ロシア議会でもこの問題が取り上げられ、野党は一時、内閣不信任案を提出する構えさえ見せた。しかし、与党が圧倒的多数の現状では効果がないと見た一部野党議員が議会内で座り込みハンストに入る騒ぎとなった。彼らはフラトコフ首相ほか経済閣僚の辞任を要求しているが、同情の声は少なく、むしろ議会の無力化を露呈したとの冷めた見方が強い。

 今回の騒動で無視できないのは、経済要求にとどまらずプーチン大統領批判にまで発展しつつあることだ。大統領の地元のサンクトペテルブルクですら、大統領を批判するスローガンが掲げられた。

 事態を重く見たプーチン大統領は閣議の席上、特典制度廃止の必要性を改めて強調する一方で、行政の失策を認め、閣僚らに事態収拾を命じた。

 しかし、特典制度を復活させるか、同制度と同等の補助金支給を確約しない限りデモは完全に収まらないと見られている。

権威主義で乗り切れるか

 昨年五月に二期目のスタートを切ったプーチン政権だが、新たな試練に見舞われている。かねてより批判にさらされている権威主義的な方策だけでこれを乗り切れるかが課題だ。

南アフリカが隣国へスパイ

日本人にとっては、はるかに遠い国だけにあまりなじみがない、南アフリカ。かつては、アパルトヘイトなどで有名だった。この南アフリカが隣国ジンバブエにスパイを送り込んだとか。さて、その結末とは?

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南アのスパイ活動発覚-ジンバブエ
両国関係に亀裂必至
 南部アフリカのジンバブエで先月、南アフリカのスパイが拘束された。これまで良好な関係を築いてきた両国関係に亀裂が入るのは必至で、ジンバブエ政府は視察に訪れた南ア労働団体メンバーの入国を拒否するなど、南アの影響力排除に神経をとがらせている。
(ヨハネスブルク・長野康彦)

 南アフリカの治安調査研究所(ISS)が先月明らかにしたところによると、観光名所で知られるビクトリアの滝で先月、南アフリカのスパイがジンバブエ中央情報機関(CIO)要員に拘束され、南アのスパイ活動が発覚した。ジンバブエ当局に身柄を拘束されたままで詳細は不明だが、同スパイは尋問の結果、ジンバブエ与党内部における協力者の名前を白状したという。CIOは拷問テクニックや情報引き出し能力にたけていることで有名。ISSによると、同スパイはジンバブエの情報当局トップを懐柔するという危険な任務に当たっていたといい、明らかに作戦は失敗したとみられる。

 南アフリカは長年、対ジンバブエ外交政策に「静かな外交」と呼ばれる立場をとってきたが、今回のスパイ発覚で両国関係に亀裂が入るのは必至の情勢。ジンバブエの野党民主変革運動(MDC)と関係が深く、南アの与党アフリカ民族会議(ANC)と同盟関係にある南ア最大の労働団体・南アフリカ労働組合会議(COSATU)のメンバーがジンバブエを訪問した際、昨年暮れと今月の二度にわたって入国拒否を受けたのも、南アの影響力排除にジンバブエ政府が神経をとがらせている証拠だ。

 ジンバブエ政府は昨年十二月にも、国家機密を南アフリカや欧米諸国に流していた疑いで与党幹部ら六人を逮捕している。逮捕されたのは、元南アフリカ総領事、与党地方委員長、与党幹部、国家安全保障省幹部、大手銀行の元幹部、それに欧州外交官。そのうち、欧州外交官はスイスのジュネーブから本国へ移送中、逃亡した。それぞれに毎月六万ランド(約百万円)の報酬が外貨で支払われていたとされる。

 ライス米国務長官が「圧政の前哨基地」と名指しするなど、米欧からの対ジンバブエ圧力が高まる中、ジンバブエと国境を接する地域大国の南アフリカは、隣国の民主化問題に早急な対応を迫られている。軍の支持を受けにくい野党勢力に肩入れするよりは、与党内部の変革の方が効果的と判断し、今回のスパイ工作に及んでいたものとみられている

米一般教書演説/自由への追い風に注目しよう


 ブッシュ米大統領は今年の施政方針を示す一般教書演説を行い、「自由の拡大」こそがテロに打ち勝つ道だと強調した。わが国も「自由の戦略」を理解し、協力すべきである。

グローバルな視点と自信

 注目の北朝鮮の核開発問題については「北の野心を放棄させるためにアジア各国と協力している」と述べ、六カ国協議を通じて外交的解決を図る考えを強調した。また、中東和平実現へ積極的な介入の姿勢を示した。

 一般教書演説は、米大統領が向こう一年間の内政・外交政策全般について年頭に議会に表明するものだ。今回の演説は、イラクで行われた国民議会選挙の成功を受けたものだけに、米外交のバックボーンとしている「自由ドクトリン」の正しさについての自信にあふれたものとなった。

 大統領はイラクをテロとの戦いの最前線と指摘し、議場に招待したイラク人女性がテロにもひるまず投票に参加したことを称賛した。そして、「自由の勝利でイラクは米国の強い同盟国」となろうと強い自信を披瀝(ひれき)した。

 大統領の演説が高揚したものとなったのは、「自由の追い風」を感じているためだ。イラクでの選挙に加え、アフガニスタンでの女性の投票参加や不正をはねつけたウクライナでの大統領選挙、パレスチナ自治区での選挙で和平交渉派のアッバス氏が選出されたことなどが念頭にあろう。

 就任演説に続き、「自由の重み」を強調したもう一つの背景は、大統領が指摘したように、米国が人類の夢を次々と実現させてきた国であるからだ。だからこそ、大統領は「自由ドクトリン」を「われわれの夢」であると述べた。

 二期目を迎え、ブッシュ大統領は「歴史に残る大統領」を目指しているが、初代の大統領ワシントンは「英国からの独立」、リンカーンは「奴隷解放」、ルーズベルトは「独裁国家との戦いでの勝利」、レーガンは「ソ連邦崩壊」で足跡を残した。このような「自由の火」の拡大が米政治の主流となってきたのである。

 一期目のブッシュ一般教書演説は力点が「力の均衡による米国の国益の追求」だったが、今回はグローバルな視点となった。9・11テロは核・通常兵器ともに世界最強の超軍事大国が、その死角を突かれた新しい戦争であり、グローバルな対応を必要とするからだ。

 物理的なテロリストの根絶は不可能となれば、唯一の対策はテロや憎悪の温床となっている抑圧体制をなくすための「自由の力」の総動員だ。それにはグローバルな戦いが必要である。

 今度の教書で「同盟国や地域の友人とともに敵に対応しよう」と述べ、テロとの戦いでの国際社会との協調を無視しない姿勢を明確にしたのもこのためだ。イラク戦争を機に悪化した独仏などの欧州諸国との関係修復を意図したものとして歓迎される。

 テロとの戦いには中東和平の実現が不可欠だ。大統領はイスラエルとパレスチナの首脳会談が決まったことを受け、両国の共存を目指す和平構想ロードマップ(行程表)の実現に全力を尽くす意向を示した。一方、シリアとイランをテロ支援国家と名指しで批判し、強硬姿勢で臨む立場を示した。

宗教的信念のドクトリン

 演説の結びで大統領は「神の摂理の道は平坦ではない。そしてその道は自由への道だ」と述べた。「自由ドクトリン」が「神の似姿として人間のみに自由が与えられた」という宗教的信念に基づくことを忘れてはならない。

マジ?中国がボーイング機を軍事転用?

最近つとに軍事力を強化している中国だが、旅客機を軍事転用した、というニュースが入ってきた。いったい何のために利用すると言うのか?もし本当であるならば、まさに何でもありの中国だと言わざるを得ない。平和ボケ日本も、もう少しこうした隣国の動きに敏感になるべきではないか?特に政治家の皆さん…。



輸出規制違反の疑いで米が調査
 【ワシントン1日早川俊行】中国に売却された米航空機大手ボーイングのジェット旅客機が、軍事偵察機として違法に転用されている可能性があり、米政府が調査を進めていることが分かった。米紙ワシントン・タイムズが一日付で報じた。

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エイズ防止策


人権だけでなく怖さも教えよ
 厚生労働省のエイズ動向委員会は、昨年一年間のエイズウイルス(HIV)感染者とエイズ新規発症患者の合計が千百十四人と、初めて千人の大台を突破したことを明らかにした。
 これまでの最多は二〇〇三年の九百七十六人だから、それより15%も上回る大幅な増加である。患者・感染者の累積数は約九千八百人となり、一万人の突破も間近だ。


感染者の急速な増加も

 わが国でエイズ患者の第一号が報告されたのは二十年前の一九八五年である。今回の統計はその節目の年に、わが国のエイズ問題が感染拡大に向かって新たな段階に入ったことを示している。

 同委員会の速報値によると、新たな感染者は男性が六百六十九人、女性七十九人で合わせて七百四十八人。患者は男性三百二十三人、女性四十三人の三百六十六人で、ともに過去最多。献血十万件当たりの感染確認件数も一・六八一と過去最悪となりHIV感染が拡大し続けていることを裏付けた。

 年齢別の感染者は、二十代、三十代で全体の75%以上を占めている。同委員会の吉倉広委員長は「合法麻薬(脱法ドラッグ)が若者の間に流通し、性的行動のパターンが変化している。出会い系サイトなどで見えないネットワークが広がり、無秩序に(感染が)増殖する。このままでは右肩上がりで急速に感染者が増えるだろう」と指摘した。

 わが国のHIV感染の拡大の背景に、若者の無軌道な性行動があることを指摘した専門家の声はこれが初めてではない。国連の『エイズ報告書』は日本について、「不特定多数との性交渉」などで「若年層を中心にエイズが広まりつつある」(〇二年版)、「十九歳になるまでにセックスを経験する若者の割合が増えている」(〇三年版)とし、二年続けて若年層にエイズ感染拡大の危機が迫っていることを警告していた。

 また、吉倉委員長は「潜伏期間を考慮すると、感染者の実数は二万人に達するだろう」と述べている。五年後には感染者が五万人に達する、と予測する専門家もいる。これほど深刻な状況にあるのに、エイズに対する若者層の警戒心が薄い責任の一半は、政府にある。

 わが国がHIVの低感染国とされてきたことに加えて、一般の人々の関心が薬害エイズ問題に集中していたこともあって、政府が患者・感染者の人権擁護に力を注ぐ一方で、肝心の感染防止対策をおろそかにしてきたからだ。

 学校教育でも日常生活では感染しないことや、患者・感染者を差別しないことを教えても、エイズの恐ろしさについては触れない傾向がある。恐ろしさを強調すれば、差別を助長しかねないとの配慮からだろう。だが、エイズは感染しただけでも人生を一変させてしまう恐ろしい病気である。事実、エイズは昨年だけでも世界で三百十万人、累計すると約三千六百万人の命を奪っている。

 米国では同性愛者や注射器を使った麻薬中毒者の間からエイズ感染が拡大した。わが国でも同性愛者や脱法ドラッグを使う若者を中心に、感染の低年齢化が進んでいる。こうした状況を見れば、エイズ問題の核心は、人間の心の荒廃にあることが分かる。医薬品の開発やコンドーム使用の奨励で防げるというようなものではない。

包括的な対策の構築を

 わが国でエイズの爆発的な感染を防ぐには、若者の無軌道な性行動に歯止めを掛け、社会に健全な性倫理を確立することを中心とした包括的なエイズ対策を構築し、取り組む以外にないのである。

日本は大丈夫?中国で流行性脳膜炎

鳥インフルエンザが収まったかと思ったら、今度は流行性脳膜炎という病気が、中国で流行しているとのこと。

日本へ飛び火してこない事を祈るばかりだ。

流行性脳膜炎、中国本土で拡大

24省で16人死亡、546人感染
春節の帰省ラッシュで懸念も
 【香港1日深川耕治】中国衛生省が三十一日に発表した緊急通知によると、中国中部の安徽省や江蘇省を中心に二十四の省・自治区で発生した流行性脳膜炎の死者は一月だけで十六人、これまでに五百四十六人が感染した。

 
 これまでに感染者が確認されている二十四省・区のうち、感染拡大が特に深刻なのは安徽省、河南省、河北省、江蘇省、四川省の五省。安徽省で八人が死亡したほか、江蘇省でも六人の児童が集団感染し、児童の自宅待機を徹底化させている。感染者が出ていないのは福建省、海南省、チベット自治区、重慶市、天津市。

 中国衛生省は三十一日夜、各地の衛生当局に対して、ワクチン注射による感染拡大防止策など予防と抑制強化の徹底を指示する緊急通達を出した。

 同通達によると、昨年十一月以降、C型脳膜炎に感染した人は国内で五百四十六人。昨年十二月だけで二百十五人、今年一月だけで二百五十八人と増加の一途をたどっている。

 脳膜炎は飛沫(ひまつ)感染や患者との接触で伝染しやすく、潜伏期間は二日から十日で突発的な発熱、頭痛、食欲不振、嘔吐(おうと)などの症状が表れ、死亡率は治療時には10%、治療せずに感染が深刻化した場合は70%とされる。特に児童の感染、死亡率が高く、抗生物質による治療法が有効。後遺症としては失明、失聴などがあるという。

拉致問題/民意は北朝鮮への経済制裁


 北朝鮮による拉致問題の象徴である横田めぐみさんの「遺骨」なるものは全く別人のもの、とした日本側の鑑定に対して、これを「捏造(ねつぞう)」とする回答文書を北朝鮮が伝えてきた。

居直り同然の北の回答

 ニセ「遺骨」をつかまされたことでは昨年十二月、憤激する世論を受け衆参両院の拉致問題特別委員会が、それぞれ経済制裁発動の検討を求める決議を採択した。新聞論調も経済制裁もやむなしで一致し、しばしば北朝鮮寄りと槍玉(やりだま)に挙がる朝日の社説ですら「総書記はこの怒りを聞け」(12月9日付)と啖呵(たんか)を切らざるを得なかったほどだ。

 北朝鮮は、先の安否不明の拉致被害者十人の再調査結果でも「八人死亡、二人未入国」とする従来の説明を繰り返しながら、それを裏付ける証拠を何一つ提示できず、再調査全体がまやかしの印象を深めただけだった。

 今回の“居直り”同然の北朝鮮の回答は、最先端の科学技術水準を無視して、高温で火葬した遺骨のDNA鑑定は不可能だと一方的に決め付けるだけで、およそ科学的な根拠や説得力がないもの。かえって、居直りと難癖付けで北朝鮮の不誠実な態度を浮かび上がらせただけだ。

 政府は「関係する専門家にどう反論するか考えてもらっており、きちんとやる」(町村信孝外相)とし、警察庁など関係当局と連携して北朝鮮側に厳しく反論して改めて回答を求める方針だが、今や「対話」を通じた対応だけでいいのか再考が必要だ。

 小泉首相は、言葉の上では「対話と圧力」が必要だと言いながら、圧力に比重を掛けることには依然として慎重な姿勢を崩していない。首相に対しても、圧力を掛けることが必要な状況である。

 すでに日本は、経済制裁のカードを幾つか備えている。改正外為法と特定船舶入港禁止法がそれで、これに加え、北朝鮮からの脱北者支援を目的とする北朝鮮人権法案も準備中である。同法案は、自民、民主両党が今国会提出を検討しており、両党案をすり合わせて成立にこぎつければ、もう一つの有力な圧力カードとなる。

 また、船舶油濁損害賠償保障法の来月一日施行により、同法の厳格運用による入港規制で、船主責任保険の不備が多い北朝鮮船舶は実質的な適用対象となる。こちらも北朝鮮に対する有効な制裁措置の一つで、大きな圧力となる。

 拉致被害の多い新潟県は先月から、独自にこの法の趣旨に沿った岸壁使用許可条件を設け、信用力のある適正な船主保険加入などを義務付けた。北朝鮮の貨客船「万景峰92」号の新潟西港の入港手続きが手間取っているのは、こうした厳しい対応によるもの。高い人権意識に基づく見識ある対応として評価すべきだ。

 一方で、六カ国協議の関係国はもとより、国際社会への理解を得る努力も欠かせない。来月十四日にジュネーブで始まる国連人権委員会に提出される北朝鮮問題報告書には「未解決の日本人拉致問題がある」として、今回のニセ「遺骨」のケースなどが報告される。対北朝鮮援助をめぐる先月二十八日のニューヨークでの国連開発計画執行理事会では、拉致問題を「解決済み」とする北朝鮮に、日本側は毅然(きぜん)として「未解決」を強調して反論した。

圧力カードを有効に使え

 日本は、拉致による安否不明被害者の救出のために圧力カードを有効に使い、あらゆる局面で断固たる対応と主張をし続ける必要がある。